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伊平屋村 実施レポート(前編)(2022年11月30日〜12月5日)

沖縄県最北端の有人離島であり、伊平屋島と野甫島という橋で繋がれた2つの島からなる伊平屋村。
稲作やサトウキビ栽培が盛んで、島の至るところに沖縄の原風景が広がるこの美しい島で、5泊6日に渡って「伊平屋ならではの子育て・教育に触れるワーケーション」が実施されました。

伊平屋村は近年人口減少が著しく、子どもたちの学び舎である学校の存続が危ぶまれています。加えて島には高校が無いため、子どもたちは中学校卒業と同時に高校進学のため島を離れます。そのため村は島を巣立つ子どもたちのことを想い「島発ち教育」に力を入れていて、今後は移住定住促進や島留学制度の構築を目指しています。
そこで、島の教育や子育てに興味関心がある方に、島の教育の実情に触れていただき、一緒に課題と向き合ってほしい!という思いで今回のしまむすびワーケーションを実施しました。

そんな島の想いに惹かれた5組5名の参加者と実施したワーケーションプログラムを、早速振り返ってみましょう!

<11月24日:タビマエプログラムで事前の顔合わせ>

参加者5名中、体調不良の1名を除いた4名で、オンライン会議を使って「タビマエプログラム」を実施しました。
まずは今回のワーケーションを実施した背景について、ローカルパートナーの叶さんから想いも含めて共有いただき、そのあとは参加者の皆さまから応募された背景や今回のワーケーションに期待することをシェアしてもらいました。
今回ご参加の皆様は、それぞれ仕事やプライベートなど理由は異なりながら、全員が伊平屋島来訪経験者ということで、島に対する熱い思いを伺うことができる時間となりました。

<11月30日:1日目>

お仕事の都合で途中参加となる2名を除いた、3組3名が運天港のフェリー乗り場で集合!
それぞれ事前の面識はありませんでしたが、タビマエプログラムでお会いしているからか、すんなりと打ち解けることが出来ました。
当日の天候は生憎の荒れ模様で、フェリーも大きく揺れる中でしたが、1時間20分の船旅を経て皆さん無事伊平屋島に到着、港近くの食事処で昼食をいただいた後は、ローカルパートナー叶さん案内の元、島の見どころを一周する周遊ツアーに出かけました。

普通の観光では見過ごしがちな山の中の展望台や、伊平屋観光のハイライトともいえる念頭平松・クマヤ―洞窟、昔ながらの生活の跡を残す集落や聖地等を見学しましたが、いずれのスポットでも叶さんからの詳しい説明があったので、単に自分たちで回るだけでは知り得ない情報を伝えてもらい、短い時間で伊平屋島の魅力を十分に理解できた時間となりました。
その後宿泊先にて一緒に夕食を取りながら、お喋りをして1日目は終了しました。

<12月1日:2日目>

午前中は自由時間、参加者は自室や公民館でテレワークをしたり、島内をランニングしたりと思い思いの時間を過ごしていました。

午後は今回のワーケーションプログラムのハイライトの一つである、野甫島の野甫小中学校見学へ。伊平屋島南部と橋でつながる野甫島は、1集落のみの人口100人の島。この島に住む子供たちはすべて、野甫小中学校に通っています。現在の全校生徒は小学生3名、中学生3名の計6名となっています。

参加者はまず校長先生のお出迎えを受け、音楽室で学校についての情報を聞いたのち、各教室や学校施設を案内してもらいました。生徒児童が勉強している様子も廊下から覗きましたが、少人数の学校ならではの、きめ細かな指導が行われていたのが印象的でした。

校内見学終了後には、村役場の現・元教育委員会課長さんも学校にお越しいただき、島発ち教育についての理念や内容、今までの成果とこれからの課題について共有いただきました。
参加者の皆様は、伊平屋島の教育に対する熱い思いを聞いて、とても感銘を受けていました!特に、単なる学力を伸ばすだけではなく、地域理解を育んだり、自律的に考え行動できる素養を育むための各種プログラムの充実ぶりに、島の大人の子供に対する期待と覚悟を感じていたようでした。

宿に戻って夕食を食べたのち、この日最後のプログラムへ。小学6年生と全中学生を対象として、村が無償で開催している「てるしの塾」を見学しました。
離島でも、本島のような学習機会を提供しようと奮闘する島の姿を、直に見ることができたのも良い経験となりました。

<12月2日:3日目>

この日も午前中は自由時間。参加者の中には三線を持ち込んで、公民館で唄の練習をする方もいらっしゃいました。
午後は年に1度の「島発ち発表会」の見学で、村離島振興総合センターへ。
まずは体育館で開かれている、「展示の部」を見学しました。島の全小中学生の1年間の学びの成果がパネル展示されていて、勉強だけではない多様かつ充実した学びが実施されていることがよくわかる展示でした。

そのあとは、ホールで開催された「発表の部」に参加しました。会のオープニングでは、子どもたちによる三線、舞踏、島の昔ながらの言葉を使った「しまくとぅば大会」の上位入賞者による発表、まちなか留学(県内の外国人家庭へのホームステイ)体験発表があり、島の子供たちの学びの多様さと充実を感じさせてくれました。
また、発表会では島出身の大学生が、島を離れてからの高校・大学生活についての発表をしており、島発ち教育が実際に島を出てからどのように効果を上げているのか、当の本人たちから聞けたことで、参加者の中にはつい目頭を熱くされた方もいらっしゃいました。

会の後半は、琉球大学の本村先生による伊平屋の教育についての講演で、今まで島で見聞きしたことがどれだけ子供たちの成長にとって大事なのか、体系立てて理解することができ、これも大変すばらしい機会となりました!

夜は元教育委員会課長と、島で子育てを実際にしているお父さん・お母さんの代表として1名ずつの計3名を囲んだ懇親会を実施。実際の島の教育についての話や、島発ち教育の実情、可能性について熱く語り合いました。